総合職・エリア総合職・一般職とは?その区分、必要?
*今回の概要*
・総合職 / エリア総合職 / 一般職の違い
・そもそも、その区分必要?
・家庭と仕事を両立しやすい企業の見分け方
目次
- 1.コースの違い
- 2.結婚後も働きたいけど、長時間労働は厳しい!
- 3.女性が結婚後に退職。それ、本当に本人の意思?
- 4.コース分け、本当に必要?
- 5.制度のある世の中で自分にできること
- 6.働き方を考える上で参考になる本
1.コースの違い
「総合職 / 一般職」というコース分けを耳にしたことがある方も多いと思います。
これは、大企業を中心に採用されています。
(中小企業は、簡単に言えば「全員総合職」のような感じです。)
最近では「エリア総合職」という、総合職と一般職のいいとこ取りをしたようなコースを採用している会社もあります。
それぞれの違いは、以下の通りです。
○総合職
・男性中心
・転勤・長時間労働あり
・幅広い業務
・管理職レベルまで昇進可能
○エリア総合職
・転勤のない総合職
(正確には、引っ越しを伴わない程度の距離での転勤のみ)
○一般職
・女性中心
・転勤・長時間労働なし
・定型業務中心
・管理職レベルまで昇進不可能
となります。
企業によって分け方は異なりますが、大体この3コースに分けられます。
2.結婚後も働きたいけど、長時間労働は厳しい!
このコース分けは、特に育児と仕事を両立したい女性に影響があります。
例を挙げてみます。
-面接にて-
会社「総合職か一般職で迷っている、と。…一般職でいいだろ。女性は結婚したら辞めるんだろ。定年まで働く人材を効率よく育成したいんだ。」
女性「女性で一括りにしないでください。私は働き続けます。」
会社「ならば総合職でエントリーすればいいだろ。」
女性「総合職は長時間労働ですよね?育児をしながら長時間働くことは、体力的にも時間的にも厳しいです。」
会社「総合職なら男性と同じ条件で働いてもらわないと困るな。それが無理なら一般職にしなさい。」
女性「一般職では管理職になれませんよね?私は男性と同じようにキャリアを積みたいんです。」
会社「わがまま言うな!そんなやついらん!!」(バン!!とここで机を叩く)
…となるわけです。(実際にこんな面接官がいたら、逃げていいレベルで危険な会社ですね)
3.女性が結婚後に退職。それ、本当に本人の意思?
確かに、女性でも総合職にエントリーできます。しかし、出産後も今まで同様バリバリ働くことは、体力的にも時間的にも厳しいです。
そこで、会社には育休制度や短時間勤務制度があります。
これで、結婚後も働き続けられます。しかし、実はこの時点で「男性と同じようにキャリアを積む」という道からは外されてしまいます。
なぜなら、会社は休まず長時間働く人を求めているからです。
会社側は、育休で1年休み、その後も早く帰るような人は正直使えないと思っています。
そのため、総合職で採用されたとしても、キャリアを積めず給与も上がらないため、会社を辞めてしまう女性が多くいます。一般職なら尚更です。
こんな環境では、結婚後働き続けることも、キャリアを積むこともできません。
そして会社側は、
「あんなに昇進したいって言ったのに、やっぱり女性は辞めちゃうじゃん」となるため、
よっぽど優秀で将来有望でない限り、総合職に女性を採用しません。
そもそも女性は総合職で採用されにくい、ということです。
この一連の流れを、「統計的差別」といいます。
言葉の通り、統計的に(一般的に)○○だ、と一括りにして見ることです。
一人一人の意思を確かめるより簡単で、対策も考えやすいからです。
例えば、
会社「女性は結婚後退職するだろう」(仮定)
→昇進させない、年齢が上がっても給与を上げないなどの待遇差別
→女性は不満が募り、結婚を機に退職する
→会社「ほら、退職するでしょ。」
となる、ということです。これでは、会社に退職させられたも同然です。
4.コース分け、本当に必要?
今更ですが、このコース分けのことを「コース別雇用管理制度」と言います。
この制度ができた背景について説明します。
日本は長らく、「男性は責任のある多様な仕事、女性は補助的な仕事」といったように性別で募集する仕事を分けていました。
しかし、国連女性差別撤廃条約という国際的な条約を批准するために、男女雇用機会均等法がつくられました。
それにより、性別で仕事を分けることができなくなりました。
そこで、「コース別雇用管理制度」をつくり、性別ではなく仕事内容や待遇の差でコースを分けました。
性別で仕事を分けることをやめたものの、総合職は長時間労働など、家庭と仕事を両立できない仕組みになっています。
そのため、女性は家庭と仕事を両立できる一般職を選びます。
つまり、制度上は性別では分けていないけれど、結果的に性別で分かれてしまうことなります。
男女雇用機会均等法はあくまで「機会均等」であり、「平等」ではありません。
確かに、女性でも男性と同じコースを選べるという点では、「機会の平等」は与えられています。
しかし、女性には育児との両立や育休などにより、「労働時間が短い」「育休で1年のブランクがある」などといったことが起こります。
それを考慮しないで、「男性の方が仕事をしている」と優遇することは不利であり、「結果の平等」が達成されているとはいえません。
制度ができた背景をまとめると、
恥をかかないよう、国際的な条約に批准したい
→男女平等を証明する法律が必要
→男女雇用機会均等法をつくる
→しかし、本当は不都合(すぐ辞める女性を男性と同じように扱うのは効率が悪い)
→コース別雇用管理制度をつくり、以前のような雇用制度を維持する
ということになります。
そもそも、「女性は家庭、男性は仕事」という風潮によりこの問題が起こっています。
しかし、働き続けたい女性、働き続けなければ家計が厳しい女性ももちろんいます。
また、総合職と一般職に明確な業務の差はなく、同じ仕事をしているのに一般職の方が賃金が低い、というケースもあります。
つまり、「業務内容は同じだけど、コースが違うから賃金も違っていいよね」ということ。
賃金の安い一般職に女性を多く採用し、安く使っているのです。
近年、エリア総合職など新しいコースができてきていますが、それではきりがありません。
コース自体を廃止して、育休や時短勤務などに柔軟に対応することが、男女平等につながると考えます。
もちろんプライベート重視の方もいます。大切なのは、働き方を自分で選択できることです。
そのために、
・転勤は強制ではなくボーナス制(転勤をしたらボーナスがもらえる)
・男性が育休を取得し、女性が働く
など、様々な方法が考えられるはずです。
5.制度のある世の中で自分にできること
いかにしてコースに囚われずに自分の望む働き方をするか、を考えなければなりません。
1番簡単な方法は、コース分けをしていない企業に就職することです。
「でもそれって総合職ってことでしょ?転勤とか長時間労働とかはちょっと…」
と思う方もいるかもしれません。
そこで重視すべきポイントが、福利厚生と会社の雰囲気です。
・育休復帰後も取り残されないように、研修が設けられているか
・育休取得後に辞めている人はどのくらいいるのか
・管理職の女性はどのくらいいるのか
・育休や女性のキャリア形成に前向きな雰囲気があるか
など、働きやすい環境かどうかを見極めることが大切です。
必ずしも、転勤や長時間労働など、総合職の特徴が当てはまるとは限りませし、柔軟に対応してもらえる会社も多くあります。
もちろん、このポイントはコース分けをしている会社でも重視すべきです。
また、厚生労働省からの認定を受けているか、という分かりやすい方法で見極めることもできます。
それが、
「くるみん / プラチナくるみん」
「女性活躍推進法に基づく優良企業の認定」
です。
○くるみん / プラチナくるみん
子育てサポートが充実している企業が認定を受けることができます。
特に「プラチナくるみん」は認定基準が厳しいため、この認証を受けた企業は非常にサポートが充実しています。
↓こちらの厚生労働省のサイトで企業が検索できます。
○女性活躍推進法に基づく優良企業の認定
女性の活躍に関する取り組みが充実している企業(女性管理職の割合が多い、残業が少ないなど)が、認定を受けることができます。
↓各企業の育休取得率や、女性管理職の割合などが検索できます。
http://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/sp/
↓2つの認定の他に、女性が働きやすい企業について詳しく見ることができます。
就活生や転職希望の人は、これらのサイトを見て企業研究をしてみてはいかがでしょうか。
このような取り組みをしているということは、人を尊重している働きやすい企業でもあるため、男性の方もぜひ参考にしてください。
6.働き方を考える上で参考になる本
最後に、日本の雇用制度や、職場でのジェンダー問題を考える上で参考になる本をご紹介します。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」は、女性が直面する様々なジェンダー問題がギュッと凝縮されています。物語のように書かれていて読みやすいのでおすすめです!
こちらの記事もぜひご覧ください。
たくさんあって絞り切れないので、この中から気になる本を見つけてみてください!